SSブログ

朋有り遠方より来る(2023年) [日記]

IMG_9184.jpg

朋(とも)有(あ)り遠方(えんぽう)より来(きた)る
意味(「三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺」より)
同じ学問に志す人間は、どこからでも集まって、学び合う。同窓・同門のこともいう。

イギリス人の友人が日本に来て、
会えるかと聞くので、驚いた。

昔、同じ宿舎に住んでいたのは数週間だけ、
しかもそれほど親しくなかった。
「朋有り…」で言うと、別に同じ学問をしていたわけでも、
学び合っていたわけでもない。

悪い男ではなかったが、話す時、
イギリスの地方の訛が強く、
まだ海外2年目の私にはかなり難しかった。
なかなか会話も弾まなかった。
それが日本に来て、私に、「会えるか」とは…

友達いないのか?

と思ってしまった。


待ち合わせ
相手は、日本は初めて、
日本語も全く勉強していない。
京都から大阪に来るので、
一番迷わなそうな場所を指定した。
・JR京都駅から、姫路行き新快速に乗る。
・JR大阪駅で電車を降りたら、階段かエスカレータで上に行く。
・改札を出ずに、カフェを探す。
 プラットフォーム上には1つしかないはず。
 そのカフェで待ち合わせ。

いつもFacebookでやり取りしているが、
自分の写真を載せない男なので、
今どんな顔をしているか不明だった。
本人曰く、
「多分わかるだろう。20年老けて、
 太って、あと、不案内な感じを出してる」

何のヒントにもなってない気がしたが、
一応、当時の写真をTimeMachineから引っ張り出して
iPhoneに移しておき、顔を何度も見た。

私の顔はFacebookでたまに出すから、
向こうがこちらを見つける方がきっと早いだろう。

しかし、お互い半径1メートルに近寄っても
しばらく確証が持てなかった。
両方マスクを付けていたからだ。
お互い、しばらく見つめ合って、
どちらも目を逸らさないので、
多分こいつだろう、という感じで
おそるおそる話しかけた。
そんな再会だったが、
かなり感動した。
20年か。


日本に来たわけ
私「どうして日本に来たの?」
朋「子供の頃からずっと来たかった(満面の笑顔)」

…いや、それ説明になってないんだが。


日本の印象
私「日本ってどんな感じ?」
朋「どこも清潔で、みんな親切で、
  英語が通じて、すばらしいよ」

…なんか嬉しい。


ティン・フォイル・ハット確認
私「ところで、アルミホイルで帽子を作って
  家でずっと被ってる人のことをどう思う?」
朋「何だそれ。何のためにそんなことするんだ?」
私「アメリカのドラマで見たんだけど、
  政府が秘密裏に出してる電波で
  洗脳されるのを防ぐためらしいよ」
朋「そのドラマの中のフィクションじゃないか。
  そんな事してる奴、聞いたことない」

…よし、どうやら変な思想は無いっぽい。
 20年も経ってるから、念のため確認した。


イギリスの某地方訛り
20年前はほとんど聞き取れなかった
彼の英語がだいたい聞き取れるので、
「グラップラー刃牙」の
本部以蔵のような気持ちになった。

スクリーンショット 2023-02-10 22.28.54.png

…ただし、彼が好きな旅行や政治の話で
 調子が上がってきて、話がより早く濃く複雑になると、
 さすがについていけなくなる。
 そこも、本気になった勇次郎には敵わない
 本部以蔵のような私だった。
 もはや歳も近い。


20年前はお互いギネス派だったが
私「心臓の手術をして、6年くらい飲んでない」
朋「お前もか! 僕も心臓が悪くて、ここ数年飲んでない」

…やっと共通点が一つ見つかった。
 歳をとればとるほど、嬉しくない共通点が増えそうだ。


イギリス人だが国外在住
私「え、まだあの国に住んでるの」
朋「うまく帰るタイミングが無くて。
  帰って腰を落ち着けたいとは思うが、
  帰るたびにイギリスが衰退しているのを感じるよ。
  不動産の価値が下がってる。
  道に落ちてるゴミも、年々増えてる。
  ネットで買うのが安すぎて、街の店はどんどん廃業。
  国民健康保険のシステムも、今後は維持できないんじゃないか
  (中略)
  ◯◯◯(ずっと住んでいる国の首都)は全く逆で、
  不動産価格は上がる一方。
  人々の暮らしも年々良くなってる」
私「じゃあ、家を買って永住してるんだ」
朋「いや、もはや買える値段じゃない。
  ずっと賃貸で、嫌なのが、家賃を払うのが遅れると
  大家さんが来て、ホウキでドアをバンバン叩かれる」

…資産家がホウキでドアを叩きに来るとは。
 いやちょっと待て、笑うところなのか?
 昔からイギリス人のユーモアはよくわからない。


20年前の写真の思い出
朋「おお、見ろ、僕が痩せている!」
私「そうだね(今よりは)」
朋「みんな懐かしいな。
  こいつは○○国の女性が好きすぎて、
  彼女に内緒で○○国のことを調べ、
  ○○国の女性とこっそり付き合って、
  全ての準備が整ったあと彼女を捨てて○○国に逃げた。

  こいつは、真似をして○○国に行くため、
  まず○○国人の彼女を作ろうとしたが、
  モテなくて挫折した。

  この娘は、独立して自分の会社を作ったが、
  共同経営者と揉めて1年持たずに廃業した。

  こいつは、あるところでバッタリ会ったが、
  声をかけたら無視された。
  後で考えたが、どうやら
  隣にいた女性は不倫相手だったらしい」


…何だか知らない方がよかった話ばかりされた。
 

我らが共通の敵
朋「写真の中央のこいつ、大嫌いだった。
  ナルシストで、彼女よりも自分のことを大切にしてた」
私「そうだったのか! 僕もこいつ嫌いだったよ。
  なんか嬉しいな」
朋「こんなやつ、僕のホームタウンに来たら
  すぐ誰かにボコボコにされるぜ」

…誰かって誰だ。
 そういう自分は海外在住だから、違うよな。

IMG_9185.jpg

わずか3〜4時間の間に、
よくもあれだけ話したものだ。
大阪城公園を歩きつつ、
たまに写真を撮ったりしていたが
基本的にずっと話していた。
そして8〜9割は彼が好きなことを語っていた。
もしかして、

話し相手いないのか?

と思ってしまった。
過去20年、外国暮らしの独り身のイギリス人。
いや、外国暮らしはこの際、関係ないかもしれない。
今、だいたいのことはネットでできる。
コロナもあって、直接人と話す機会は減った。

やっぱり人間、話し相手は必要だ。
私には妻がいるけど、彼にはいない。
今日のことを思い出して、楽しかったと思ってくれたらいいな。
大阪駅で見送った後、そんなふうに思った。


刃牙展 札幌 ブラインドアクリルキーホルダー 死刑囚編 本部以蔵

刃牙展 札幌 ブラインドアクリルキーホルダー 死刑囚編 本部以蔵

  • 出版社/メーカー: ノーブランド品
  • メディア:






森伊蔵 1800ml

森伊蔵 1800ml

  • 出版社/メーカー: 森伊蔵酒造
  • メディア:



nice!(0)  コメント(0)