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イチョウの木の側で [日記]

ふたりが歩く
いつもの道。
空は青く
太陽はまぶしく
風は少し肌寒い。
夏は終わり
ふたりはいつのまにか
秋の中にいる。

ふと奇妙な香りが
ふたりの鼻を突く。
森や山では普通の香り
都市の中では異臭。

まさか、う◯◯なのか。
どうやらう◯◯だ。
こんなところに。

もし◯ん◯でなかったら
何だと言うのだ。
きっと◯ん◯だ。

ふたりは視線を送り合い
そう合図する。
気をつけなければならない
ほんのわずかでも
踏むわけにはいかないから。

ふたりはゆっくりと
大きな木の側を通り過ぎる。
その太い幹の向こうに
薄茶色の小さな球体が
無数に転がっている。

なんだ、あれか。
◯◯こではなく銀杏だ。
食べられるのに
こんなに臭いとは。

遠ざかるにつれ
香りは薄らいでいき
ふたりはやや深く
息をつく。

「ああ、すごかった」
と妻が言う。
「あれは、イチョウの木の
 ◯◯こみたいなものだね」
と、夫が言う。

「なるほど、
 道理で臭いわけね」
と妻が言うと
夫は続けてこう言った。

「銀杏はイチョウの
 う◯◯のようなもの
 う◯◯のようだが
 ◯ん◯にあらず

 だが鳥は、銀杏を食べ
 ◯ん◯をする
 人も銀杏を食べ
 ◯ん◯に変える

 いずれ全てが
 ◯◯こになる
 この世は
 ◯◯こで
 できている」

静寂。

やがて妻が聞く。
「何、今の」

夫は笑って答える。
「く●ポエム」

始まったばかりの秋は
きっと足速に駆けてゆき
また長い冬がくる。

そしてふたりはまた次の冬も
寄り添いあって
春を待つのだろう。
う◯ことか、いい歳して
くだらない事ばかり
言い合いながら。
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