カタストロフィは突然に〜１７年目の崩壊（２）：カナダの思い出

先週、水が奥歯に沁みるようになった。
そして３日ほど前から、噛むととても痛い。

そう伝えると、２年ぶりに会う歯科医は
前回のレントゲン写真を見ながら、

「やっぱりあれかなあ…」
と言った。

その後、新たにレントゲン写真を撮ると、
「やっぱり、骨が減っているから、
　これが怪しいですね」
と、先ほどと同じ歯を指差した。

「…ここに、大きな詰め物をされてますよね。
　この隙間から虫歯になってる可能性がありますので、
　まずは詰め物を取って中を見ます」



そして、麻酔銃もとい、注射器の準備を始めた。
麻酔が効きはじめると、器具が回転し始める。
今ターゲットになっているのは、
確か、16〜17年前にカナダの歯医者で
治療してもらった箇所だ。

キュインという音で、掘削が始まった。

カナダの思い出の一片が粉々になって消えていく、
なんてことは全く頭になく、
早く取っ払って治療してほしい一心だった。