まさかの一言

休みを取ってしまった。
重要な用事があった訳ではない。
体と心を休ませたかったからだ。



たまの平日休みは、妻にくっついて
妻の会社までついて行くところから始まる。
途中で喫茶店でモーニングを食べて、
さらに一緒に歩いて、会社の入り口の前で別れる。

一人になったら、その後は通院。
いつもの心臓の薬をもらいに行く。

受付を済ませると、看護師さんが来て、問診。
いつもの薬が必要、とだけ伝える。
すると、診察室に行って戻ってきて、
「そろそろ検査されますか」と。
ということは、ここで最後に検査してから
一年くらい経ったのか。

「今日は結構です」
「えっ」

沈黙。

看護師さんが深刻な顔で沈黙を破る。
「どうしてですか」

何も考えずについ正直に答える私。
「お金が無いからです」
「えっ！」

今までそんな事言ったことなかったからだろう、
すごく驚かれて、しばらく次の会話が無かった。

もちろん、慢性的にお金が無い状態ではなく
単に持ち合わせが無かったのだが
看護師さんはしばらく沈黙していた。

ちなみに、この医院から紹介状を書いてもらって、
今月初めに大腸内視鏡検査を受けたばかりだった。
その検査費用がお金の無い原因と推測してもらっても別に構わないが
結局、それ以上の会話は無く、
いつも通り診察だけしてもらって、処方箋をもらって帰った。

「お金が無い」は、なかなか強烈なフレーズのようだ。
思えば家族以外には言った事無い気がする。

散歩しつつ、妻の会社付近まで戻って、
一緒に昼食を食べに行った。
さっきの医院での顛末を話すと、妻は、

「それは、よく言ったわね。
　きっとレベルアップしたのよ」

と言った。
無駄な見栄を張らなかったと考えると、
確かにその通りかも。



なかなか素晴らしい定食だった。



妻が頼んだカキフライは特に絶品。

そして、この食堂も現金決済のみだったので
財布が空になった。
このあとATMに行った。