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猫のスージーと私たちの思い出 [日記]

今日、母から連絡があって、猫のスージーが天寿を全うしたということだった。
令和2年2月22日 午後2時10分頃。14歳くらいだった。

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2006年の冬、父とヘクターの散歩に行っていた妹が、子猫を拾ってきた。
河川敷にひとりで居て、大きな声でニャーニャー呼ぶので、つい拾ってきてしまったのだという。
どう見ても生き延びられそうにないので、筆者は、愛着がわかないように、わざと見たり触ったりしなかった。

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ところが子猫は、すぐ犬のヘクターと一緒に寝はじめた。
この瞬間、この子は生きられるかもしれないと思った。
後で知る事だが、捨てられた子猫が死ぬのは、ひとりでは体が冷えてしまうからだ。
長毛犬の冬毛に包まれて寝る子猫は、すぐ元気になった。
ノミがいたので、すぐ動物病院デビューしたのだが、
ヘクターもノミが移っていたので一緒に連れて行かれた。

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親のいない子猫を飼い犬が育てる話はたまにあるが、うちの場合は少し違う。
ヘクターは1歳の男の子で、母性本能は無かった。
子猫がおっぱいを吸うと、嫌がって寝返りを打って逃げた。
すると子猫は、巨大な背中をよじ登って反対側に移動し、また吸おうとした。
するとまたヘクターが寝返りを打ち、子猫が登るのが繰り返された。
他にも、ヘクターが寝ているところを子猫がジャンプして襲いかかったり、
見ていて楽しい事が沢山あったが、ヘクターがどう思っていたかは定かではない。

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子猫はスージーと名付けられた。
家族が、痩せた人を揶揄して言う「骨皮筋右衛門」から取ったもので、決して筆者の命名ではない。
子猫時代は、よく家の中でヘクターと一緒に追っかけっこをして遊んでいた。
遊んでいない時も何かと一緒に過ごしていた。
おかげで普通の猫より強くなったし賢くなったと思う。
意外にも、父がスージーを気に入って、
刺身など食べている時は、決まって1切れ2切れはスージーにあげるようになった。

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大人になったスージーに、まず避妊手術を受けさせた。
家の中と外を自由に行き来するので、これは絶対に必要だった。

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避妊手術も無事終わり、回復すると、家も庭もスージーの天下になった。
育ての親のはずのヘクターは、いつの間にかスージーに頭が上がらなくなっていた。
例えば、スージーが何か食べている時は横でずっと欲しそうに見ているだけで、
絶対に奪って食べようとはしなかった。
あと、隣の家の白っぽい猫が、子分のようにスージーの後をついて歩く姿をよく見かけた。

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さーちゃんが来た時、ヘクターもスージーも熱烈に歓迎してくれた。
ひょっとすると、「3匹目」かと思ったのかもしれない。
あと、さーちゃんが家に泊まると、真夜中にすうっと部屋に入ってきて、
ベッドに飛び乗って驚かされたりした。その後は朝まで一緒に寝てくれたが。

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スージーは若い頃は元気だったが、晩年は口のまわりに腫瘍ができ、
うまく物が食べられなくなった。
めっきり痩せて、自力で毛繕いもできなくなった。
それでも、目は力強くギラギラしていて、
父が刺身をあげると、食べにくそうにしながらも、頑張って食べていた。

去年の大晦日、いよいよ危ないと言うのですぐ様子を見にいった。
実家に着くと、いつも通りにしていて、何でもなかったようだと言われた。
ホッとしたが、もう14年目、心の準備が必要だと思った。

母によると、昨晩スージーは、後ろ足に力が入らないようで変な歩き方をしていた。
前足だけで階段をよじ登って、父の部屋に行き、一緒に寝た。
そして、朝、ごはんの時間になっても起きなかった。
父の布団に寝たまま、静かに息をしていた。
お昼ごろにニャーニャーと鳴いて、また静かになって、
2時過ぎ頃に大きな息を1つした。
その後は数分間、また静かに息をして、やがて旅立った。
安らかだったという。

スージーは最後まで腫瘍に負けず、寿命を迎えたのだと思いたい。

母は私に連絡した後、
妹と一緒にスージーを桜の木の下に埋葬し、
水仙の花を手向けた。

最初、捨て猫を拾って育てて飼ってあげて、
恩を売っているような気もしていたけれど、
スージーにご飯と寝床を与えただけで、
うちの一家はどれだけ沢山のものをもらっただろう。

楽しかった毎日、
一緒に寝た夜、
数えきれない思い出。
スージーに、うちに来てくれてありがとうと
心から伝えたい。

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